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日陰の二次創作小説サイト。DOLLSで気ままに稼動中。
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こんばんにょ、Kで御座いますぅ(´Д`)ノ

今回も、桜澤×御子柴のお話となります。
今回のテーマは、携帯…。
実はこのテーマ。
桜御子でお世話になっております、ユウキさんよりリク頂きました~
ど、どうかな?
ちゃんと携帯中心になっているだろうか?;

ではでは。
バカップルな二人をどうぞ☆(笑)









『MEMORIES』













ボチャンッ…





「あ…」












法務省特別死刑執行刑務官部。
その一室。

二人の男が、神妙な面持ちで向き合っていた。


「…な、なにぃーッ!!?」

金髪の長い髪を振り乱して、片方の男が机の上の何かを掴み上げる。

「いや、努力はしたんだ。暫く乾かしたけど駄目だった…」

その男の目の前に座る片割れ、茶髪の男。
金髪の男を見上げ、掴まれた 何か を奪い返した。
再び机に転がる 何か――。


電源の落ちた 携帯電話。


「お、落とし、たぁッ?…てことは。今までの俺とのメールも、全部消えたって事ぉッ!?」

「トイレ行ったらポケットから滑ってドボンと…。そのまま電源が入らない。」

「ぬあああッ!」

「あ、でも。代わりの携帯は部長から貰ってるからな。心配ない。」

「そういう問題じゃねーだろ、笑太ぁ~ッ!」

そう涙目で訴える男、桜澤時生。
まるで自分が携帯の持ち主のように、壊れた携帯をひたすら弄っていた。

何故、携帯如きでそこまで嘆くのだろうか?
しかも、それは俺の携帯だ。

それに。
メモリーが消えようが、メールが消えようが――
またメールしたら同じ事なのに…。


「じゃあ、どういう問題なんだよ?」

「どういうって…。今までの俺とのメール、全部消えたんだろッ?スゲー問題じゃんか!」

「はぁ?メール如きでガタガタ言うな。」

「ひでぇッ!だって、思い出じゃんかよ!笑太は大切じゃないの?」

「大切じゃないとか、今はそういう問題じゃない。」

「そういう問題だよッ!!」

「はぁ?…仕方無いだろッ!ワザと落とした訳じゃないんだから!」


食い違うお互いの主張。
今はこのまま話していても平行線だ。
アイツは、未だ涙目で俺の携帯を弄っている。

何故そこまでこだわる?訳が解らない…。


「あ、そうだ!」

「?」

行儀悪く机に座って携帯を弄っていた時生が、ふと声を上げた。

「俺の携帯のメール履歴、全部送るよ!そしたらまた残るだろ?」

灰色の瞳を輝かせて俺を見詰める。

「はぁ?何でそこまで…」

「え。だって残したいじゃん!メール…。」

「また新しくメールすればいいだろ…。過去のなんて残して、意味有るのか?」

「有るよっスゲー有る!思い出だから!」

「…はぁ?今更いらねーって。新しくメールすればいいだけの話だ。」

メール如きが思い出なんて…とんだ戯言だ。
…馬鹿らしいにも程が有る。
確かに大切かもしれないが、新しい携帯に送ってまで残す必要が有るのか?

「新しいメールだけじゃ駄目なんだって!」

「じゃあ、アンタの携帯に残っていればいいだろ。」

「違うよ!笑太の携帯にも、俺とのメールが残ってなきゃ嫌なんだ!」


永遠の平行線。
余りにもしつこい時生に、苛々してきた。
ガンとして聞かない今のアイツには、きっと何を言っても無駄だ。

もう、どうでもいい――。


「もう、勝手にしろ!」

「あぁ、勝手にする!」




その後――

お互い表面上は冷静に任務をこなし、そのまま帰路についた。


自宅に戻り、シャワーを浴びる。
シャワーを終え、髪を拭きながらリビングに向かう。
ふとテーブルの上の携帯を見ると、1件のメール着信が有った。
慣れない操作でメールを確認する。

見ると、アイツからだった。

長々と綴られた今までのメール内容。
普段仕事で会っているので、数えられる程の回数しかメールはしていない。
しかも、内容はごくありふれた内容。

外出先での待ち合わせ。
今何処にいるとか、少し遅れるとか…。
たまに暇な時に。
今何してるとか、明日の仕事はこうだとか…。

本当に、どうでもいいような内容。


――これの何処が大切なんだ?


「…馬鹿らしい…」

返信せずに、そのまま携帯を閉じる。


その夜――

それ以外 時生からのメールは無かった。








翌朝――



「笑太、ごめん!俺が悪かった!」


着替えて、会議室に来るなり謝る時生。

「……」

昨日の事か…。
そう思い至り、微かに苛付いた。

自分のしたい事をした後に謝るなんて…馬鹿かコイツは?
謝るならメールをする前に謝れ。

時生は、微かに目の据わった俺を見て、怒られた犬のように俯いた。

「昨日はホントごめん…。俺の我が儘だったよな…」

「……」

無言の圧力。
周りの空気が凍り付く。

「で、でも…何だか、今まで 笑太と一緒に居た 時間 が消えてしまう気がして…」

「…は?」

「お、お前が…今迄の 思い出 を忘れてしまうような気がしたんだ…それで…」

怖かった…と、消え入りそうに呟く。


つまり――?


俺の携帯に、今までのメール(時生曰く思い出)が無いと。
俺がそれを忘れてしまう気がした、と…。

忘れる…

いわゆる
俺が、それ を 忘れる程度のもの だと思っている、と?
だから怖かった?
自分だけが大切に思っている、と思って?

そういう事だろうか…。


「…はぁ~~~ッ…」

余りにも馬鹿らしい発想に、深い溜息が出る。


なるほど。
それで、あんなに食い付いて来たのか――。


「…ごめん、笑太…」

未だにデカイ図体を小さくさせる時生に、ふと笑いが込み上げる。

ホント馬鹿だ、コイツ…。


「もう、いいよ…」


「…っ!許してくれんのッ?」

ガバッと顔を上げ、目を輝かせる。


許すも何も――

時生は悪くない。
俺が、アイツの気持ちを見ようとしなかっただけだ。
アイツの言葉に潜む本音を。

そして。

俺自身の気持ちも、伝えなかったから――。


「俺も…ごめん…」


「ッ!?」

ポツリと、聞こえないくらいの声で呟く。

すると。
時生は、力いっぱい俺を抱き締めてきた。


「これで…仲直りだなっ」

「おいっ…は な せ よ!」

「ヤダね~」

耳元で、嬉しそうに囁くアイツの声。
微かな安堵の吐息が 耳を掠めた。


忘れる訳ない――

いらない物な訳ない――

大切に 決まってるじゃないか…



思い出も



アンタも――



「じゃあ、仲直りのチューを…」

「図に乗るな。」

「イタ!」

「あははっ」













「あれ?笑太君、携帯変えた?」


青みがかった長い髪が視界を掠める。
高めの声に、手元から相手へと視線を移した。

「清寿か…。何、コレの事?」

「うん。前使ってたのと違うよね。でも、変えたにしては随分傷が付いてるけど…」

「コレは、昔使ってたやつ。」

「あぁ、なるほど。」


「何だか…捨てられなくてさ…」






FROM:時生



TITLE:仲直り



TEXT:愛してるよ、笑太(´3`)~☆






――ホント…バカだよな



――アンタも





――俺も…








FIN.


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