無限抱擁

ちょいと昔に発売されたゲーム『DRUG ON DRAGOON』の小説です。
凄く大好きでした！！
フリアエとかもそうだけど、カイムとか、敵とかも、全て全て愛しいキャラ達です♪
フリアエが死んで破滅の女神転生する時は、凄い驚いた！
ストーリーが、とても奥が深く考えさせられる内容のゲームです。

今回は。
かぁなり前に書いた物ですね～；ちょぃと気が向いたのでＵＰしてみました。
過去の恥晒し！；

内容は…カイム＋アンヘルかなぁ？
ご興味有る方はどうぞ(´Д｀)ノ

～無限抱擁～



『憎しみからは何も生まれない…』

誰かがそんな事を言っていた気がする。


復讐
憎悪
愛情
殺し合い
人間
焔
風
血飛沫
叫び
恐怖
女神
心
故郷

還りたい
還りたい
還りたい…。

『何処に…？』お前が居る其の場所に…。『何故…？』此処にお前が居ないから…。


ずっと…お前と共に在るのだと思っていた。
契約を交わしたあの時から…。
ずっと、共に存在するのだと思っていた。


――この世界に。

今、俺は独り。
憎しみの果ての喪失、決別。
憎しみの果ては、更なる憎しみを呼び起こす。
無限の復讐劇。無限の喪失。

「其れでもお前は生きろというのか？」


"我が名を人間に教えたのは、お前が初めてだ…"

"…覚えていて欲しい…"

"我が存在していたと言う証を、記憶を…残しておいて欲しい。
カイム…。"

"せめて、お前の心の中に…"


「勝手な事を…」

呟きは、風に流れる。

此れでは死ねないではないか。
憎悪の成れの果てのようなこの俺が…生き続ける事こそ辛い事は無いと、お前は解っている筈。
其れでも、お前はッ…。


「……仕方無い…」

小さな吐息を吐く。

お前が、此の世界の封印として存在する事を決めたのなら、俺も生きよう。
お前が、ドラゴンとして存在した証として…。


ふと、眼下の景色を見渡す。

物見の塔から見える景色は、とても美しかった。
永遠の緑。突き抜ける蒼。輝く世界。
柔らかな風が、男の頬を撫で、漆黒の髪を揺らす。

「お前の守る世界…」

（此の世界で生きるのなら、お前と共に在るも同じか…。）

何度目かの吐息を漏らすと、何処かで奴の笑う声が聴こえた気がした。
其の声に振り返ると、太陽が眩いばかりに男を照らし、其の背を暖めていた。

「…お前も案外暇な奴だな」

そして、俯いて微笑む。



（………アンヘル…。）