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日陰の二次創作小説サイト。DOLLSで気ままに稼動中。
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修羅場中のKです。こんばんわ。

先日お話してました桜澤×御子柴のお話で~す。
当サイトでは珍しい、前向きな内容です。
微妙に前向きな感じ…というかね…。(苦笑)

ホントは、結構前に書いていた物なのですが、
何分修正に時間が掛かってしまいましてね…;;;
自分の文章力の無さに、ただただ打ちひしがれるばかりで御座います。
うほぉ~う(´Д`)ノ狂。

氷で薄まったジュースのような話ですが、
お楽しみ頂ければ幸いです☆














『 追夢 』














... ~ to say ... truly ~...






... and did ~ my .. way ...




ギターとピアノが奏でる甘い響き。
しっとりと暖かい地下の暗がり。

低音で歌う女性シンガーの声が、一時の慰めのように甘さを残す。


.... What is ~ thing ...


小さなグラスに閉じ込められた氷のダイヤ。
緩やかに溶け、軽い音を立てながら琥珀色の世界へと駆け下りた。
カウンター席に広がる己の金髪を、黄色のダウンライトが柔らかく照らす。


... left on ~ the handle ~...


「………」

一つ溜息を吐く。

疲れている時。
この場所は、こんなにも優しく自分を包み込む…。

そんな事を思いながら、目の前のグラスを煽る。
微かな渋みのきいた琥珀の液体が、喉を通り過ぎた。
同時に食道がひりつく感覚。刺激に眉を顰めた。

「…、…」

そんな自分が何故か酷く滑稽に感じられ、自嘲に口角を歪める。


 カラリ…

また一つ。
グラスの氷が溶ける。

形を変える氷塊を見詰めながら、先日の三上の言葉を思い出した。



 "" これは人権問題だよ… ""

 "" 報復だろう? ""


 "" そういうのは処刑とは言わない ""


辛辣な断言だった。
直ぐに反発出来ない程の…命令。

それなら、そもそも処刑とは何だ?
罪を犯した人間に与える罰だろう。

罪人に…『 被害者と同じだけの苦しみを与える 』
喪失。苦痛。慟哭。憔悴。
大切な人を失った人達の"" 苦しみの平等化 ""


それが―― 俺にとっての仕事の信条。


「…せぃ…ぎ…か――」



「……おい、アンタ。」

「…?」

思考の海に落ちようとした瞬間、聞き慣れた高めのテノール。

カウンターに突っ伏したままの重い頭を持ち上げ、呼び声に目を向ける。
自覚した酔いで視界が陽炎のように揺らいだ。

見下ろす青い瞳。
黒い革のジャケット。
モノトーンのデニムパンツ。
赤みを帯びた茶色の髪が、淡い光で金色に縁取られていた。

「…し…笑太っ……」

「………。アンタ…人を呼び出しといて こ の ザ マ かよ…」

「…ぁ。ご、ごめん…」

明らかに顰めた眉間に、深い影が落ちる。
笑太が、一つ一つ言葉を区切って喋る…それは、怒っている証拠だ。

「ご、ごめんね笑太っ。ちょっと、思ったより酔いが回るの早くてさ~」

慌てて乱れた髪を直し、姿勢を正す。
カウンターへ接していた頬が、微かに熱を帯びた。

「いいよ…いつもの事だし。」

呆れながら溜息を吐く。
バーテンにオレンジジュースをオーダーしながら、ふわりと俺の隣に腰掛けた。

「へ?ジュースなの?」

「 俺 は 未 成 年 だ が ?」

「あ。そうでした~テヘっ」

「テヘっ…じゃねーよ。全く…」

「…えへへ…」

「……」

普段通りだ。
日常の…何気無いじゃれ合い。会話。
笑太との沈黙が、優しく俺を包む。

お前が、俺の隣に居る。
ただそれだけで、こんなにも心は満たされる。

泡沫の慰めなどではない、真の癒しとして…。


「……で? 話って何だ?」

ストローでジュースを飲みながら、チラリと横目で俺を見る。

「ん?……あぁ。何て事ないよ。ただ、笑太と一緒に飲みたかっただけ~」

そう言って微笑むと、笑太は疑いの目で俺を見詰めた。
深海のような…静かに揺れる紺碧の瞳。

「………つまらねー事で呼ぶなバ~カ。」

「…ふふっ…ごめんね…」

膨れてそっぽを向く頬を、謝罪と共に指先で撫でる。
すると、勢い良く振り返りカウンター下で俺のスネを蹴り上げた。

「イテ!」

「…わきまえろ、このバカがッ」

「うぅ…すいません…」

そんな会話にも満たされ、思わず笑みが零れた。
場違いな微笑みに、気色悪い!と言って二度目の蹴りがくる。

「…どーせ……。部長の説教が長い~とか言い出すつもりだったんだろ?」

既に中身の無くなったジュースを吸いながら、笑太がポツリと呟く。
長めの前髪で隠れ、その表情は伺えない。
でも、どんな顔をしているかは想像ができた。

「……あ、バレたぁ?だってさ~いつもあの人、チョー煩いんだも~ん。」

「…、…」

ブツブツと愚痴る俺を一瞥すると、笑太は再び空のグラスを吸い始めた。

「……」

「……」

流れる沈黙。
ジャズの音色が、儚い幸福を際立たせる。


...I will live~in now .... For ~ future us ...


何かを諦めたような顔で、笑太が振り向いた。

「…全く…。煩く言うのは当たり前だろ。ちゃんと話聞いてたのかよ?」

「聞いてたよ~……半分。」

「 全 部 聞 け。」

「は~い」

「…~っ…」

何度目かの溜息。笑太の顔が微かに曇る。


ごめんね笑太…。
心配してくれてるんでしょ?

――解ってる…ありがとう…ごめん。

心の中で苦笑を浮かべる。

グラスを、手持ち無沙汰につつく横顔。
ダウンライトが、成熟途中の輪郭を鮮やかに照らし出していた。


 "" そういうのは処刑とは言わない ""


「…、…」


他人に 何を言われようと
他人に 何をされようと

笑太と共に在る為に――
未来の幸せの為に――

俺は、俺を貫く。
それが俺の… RULE だから…


 "" 報復だろう? ""


――違うよ、違う…


 "" これは人権問題だよ… ""


――被害者の気持ちを思ってのことだ。


 "" 処刑とは言わない ""


それとも…俺の方が――


... I will ~ convey ... my ~ dream....


「……間違って、る?…」

「…っ…」

酔いのせいか、意図せず口を吐いて出た言葉。
言ってからしまった!と思った。

傍らの恋人に視線を移す。
すると、驚きの目で俺を見詰めていた。


――あぁ…また心配させちゃうね…ごめん…。

でも俺はね…
お前が 居てくれればいいんだ。

――お前を大事だと想う この気持ちを 大切にしたいんだよ…。


「…笑、太…」

目の前の愛しい青を見詰める。


「………ってねー…」


「…?」

流れ漂う音楽にも、掻き消されてしまいそうな程の小さな呟き。

俯く顔に己の耳を傾ける。
すると、促されるようにゆっくりと笑太が顔を上げた。


「間違ってねーよ。」


「…っ…」

鋭い閃光を放つ瞳。
俺を射抜く、抵抗を許さない比類無き青。
余りにも強いその引力に、思わず目を細める。

この瞳が何よりも大好きだ。

――俺を…誰よりも強くする、この絶対の瞳が――


笑太の長い睫毛が細く震える。
光に透かされた青が、逡巡するように彷徨った。

「お前は間違ってない、俺はそう思う。でも、ただ…」

「…ただ?」

グラスの氷が思い出したかのように音を立てる。


「……アンタが『バ カ』なだけだ。」

「…っ!」

困ったような淡い笑みを湛える口元。
光に透かされた茶色の髪が、亜麻色にサラリと靡く。

「ひ、酷いよ~っ」

「いや…救えない バ カ か…。」

「えー。バカって言った方が…」

「バカなんだろ?」

「…っ!…う、ぅ…」

続く言葉を封じられ、渋々頷く。
そんな俺を見詰め、笑太が微かに微笑んだ。

「…バカはアンタの弱点であり、とりえ…だろ?」

「フォローになってないよ…」

「フォローしてないが?」

「もっと酷いや~…」

涙目で呟くと、そうか?と言って優しい笑顔を見せた。

そんな笑太の笑顔を見て、何故か俺は嬉しくなる。
反撃のように口角を歪めた。

「…ふふっ…笑太は意地悪だね~」

「…ケッ…御互い様だろ?」


――お前の為なら 何だってしてみせるよ。


「あ、確かに御互い様だ~。ベッドでは俺の方が意地悪だもんねぇ~」

「…ッ!?……このッ!…」

「イッテェー!」

気付くとグラスの氷は全て溶け…
薄まった金色の海に溺れていた。


でも
溺れてたって、二人なら歩いていけるよね。



――その先に在る

――未来の 幸せ へと向かって――



俺はそう――信じてる。











FIN.





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